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ともに、かける

採用基準

概要

本書では筆者がマッキンゼーで10年以上採用マネージャとして働いた中で学んだことや得られた知見をもとに日本の若者にどのようなスキルを身につけるべきかを提示している。特にリーダーシップの重要性に関して、日本人が持つ勘違いを交えながら丁寧に解説をしている。リーダーシップはマネージャなどの役職は関係なくメンバ全員が持つべきスキルであると主張した上で、どのような振る舞いがリーダーシップなのか、リーダーはどうあるべきかなどについて説明する。

書評

リーダーシップについて丁寧に解説がされているため深く理解ができます。リーダーシップを持てている自信がない方にはとてもオススメです。読んでいて共感する部分が多く、自分自身は結構リーダーシップを発揮できていると認識できました。リーダーシップをスキルとして分解し、整理できたので強みとして今後うまく伸ばしていけそうな気がしています。それだけではなく各メンバがリーダーシップを持つことで組織の成果がより大きくなる可能性を理解できました。今後のチームビルディングにも大いに役立ちそうです。汎用的なスキルとして学ぶことが多いので本当にオススメです。一部内容を紹介します。

問題解決リーダーシップとは、解くべき課題(イシュー)の定義から、分析の設計、関連する組織や人とのコミュニケーションを含む一連の問題解決プロセスにおいて、リーダーシップを発揮することです。

地頭が良いだけではリーダーシップは発揮できません。基本的に仕事は組織で行うものであり、何かを成し遂げるにはコミュニケーションを含む問題解決が必要になります。問題解決のために人を巻き込み、目標達成のために皆で何かを成し遂げる力がリーダーシップに含まれます。

全員がリーダーシップを持つ組織は、一部の人だけがリーダーシップを持つ組織より、圧倒的に高い成果を出しやすいのです。

マッキンゼーはそういう組織らしいです。私も同じ意見です。ここでよくある日本人の考え方が以下であると紹介されています。

日本でリーダシップのある人というと「野球部のキャプテンをやっていたとか」、「プロジェクトのリーダーを任されている○○さん」など、役職がその代替概念としてよく挙げられます。

私も思い当たる節が正直あります。リーダーシップとはリーダーが持つものだと思っていました。しかし、今の組織に入り考えが変わりました。実は自組織がとてもこの状況に近いです。リーダーシップを持つ人が多く、役職に関係なく各メンバが自律的に事業成長に向けて課題解決をリードしています。自身もその一人です。誰かの上司ではないですが、SREチームであったり、文化醸成であったり、チームビルディングであったり自分が貢献できそうなところで何かしらをリードできています。自組織にはそういう人がたくさんいて、全体として組織の成果が最大化されていく実感があります。

全体の方向性に影響を与えない細かいことにこだわったり、現実的でない理想論を振り回す。面倒なことが起こると突然に無関心を装い、いつの間にか自分の役割を離脱しているこういった行動をとるのは、自分がリーダーとして苦労したことない人ばかりです。

これは本当にそうだと思います。リーダーは多くの決断をする必要があります。理想を描きつつ、時には十分な検討を行う時間がなくても現状の最適な選択を想像し、決断をする必要があります。そのような経験を積み重ねていると、理想ばかりでは世の中が回らないことがすぐにわかります。立派な理想を持つこと自身は素晴らしいことです。理想だけを振り回し、自分では何もしない人がいたらその人はリーダーシップがない人だと思います。その理想に向けて一緒に何ができるのか、自分ならどうするのかを常に考えることが重要だと思います。

もうひとつよく言われるのが「ポジションをとれ」という言葉です。これは、「あなたが意思決定者だとしたら、どう決断するのか」という意味です。

早めにポジションを取ることにより、さまざまな問題点が浮かび上がり、改善や修正も素早く行えるようになります。仮でも良いのでポジションを取って結論を出さないと、外部から反対意見させ集めることができず、何を改善すれば良いのか見えてきません。

これもとても重要だと思います。最初からこの考えを徹底させられると思うとマッキンゼー恐るべしです。自身も常々意識していて、私の場合は「たたき台を作る」が同じ意味になります。その状況における結論をたたき台として早めに作るようにしています。そもそも正解なんてないこともあるので、悩んでいても無駄なことも多々あります。まずはたたき台の中で決断をし、結論を出すことが重要です。反対意見がなければそれで進める。その方が早く進むことが多いです。

また、「たたき台」というのは正解である必要はなく、あくまでも「たたく」ための案なのです。もし最終決定者が自分でなくても、たたき台の中では自身は意思決定者なのです。そのため決断をする練習ができます。それを意識して、どんどん決断をすることで判断力も養われていくように思います。意思決定を自身でできていないと感じている方は是非たたき台を作ってみてください。