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ともに、かける

エンジニアリング組織論への招待

概要

「不確実性に向き合う」という一貫したテーマで経済学、心理学、哲学などの様々な成果を結びつけ、エンジニアリング問題の解決方法を体系的に説明しています。組織論における近年良いとされるプラクティスが網羅的かつ体系的にまとめられているので大変おすすめです。また物事の本質を綺麗に言語化している箇所が多く、大変感動しました。

こちらの書籍は社内の読書会で読みました。私は特にメンタリング周りの知識が少なかったので大変勉強になりました。また原理原則として様々な問題の根幹には「不確実性」があるという抽象的な捉え方を持てたことで日常の思考過程にも変化がありました。非常に気づきを多く得られる一冊でした。

一方で有名な内容が多いようなので博識な人には発見が少ないのかもしれません。また、博識な同僚は「解釈が誤っていたり、根拠として提示する割には出典が明示されていない所が気になってしまい、信頼して読めない」と言っていました。似たような口コミもありますね。そのため、知識としては一部疑った方が良い内容があるのかもしれません。特に行動指針や考え方などの気づきを得ることを意識すると良さそうです。私は自身を変える気づきが多かったので総合的にはこの1冊をおすすめします!!

次にメンタリングに関連する内容を本書の引用なども交えて紹介します。

メンタリングに関する内容の一部

自分から考えて動いた結果、評価されたとか、周囲からの尊敬を集めたとか、そういったポジティブな結果を手に入れた人は、正のフィードバックループサイクルの中に「自律的に動くことは、楽しい」といった回路が組み込まれることになります。このような感覚を「自己効力感(self-efficancy)」と言います。メンタリングは、自立型人材を作るために、信頼関係の上に期待値を調整して、適切に自己効力感を持てるようなフィードバックループを作り出していきます。

自己効力感大切ですね。自身も「自律的に動くことは楽しい」が染み付いていく過程にこのループがあった気がしています。組織全体でこういうループを作り上げていけると良いんだろうな〜と思いました。

また、メンティが効率的に成長できるためのメンターとメンティの関係性における条件として以下が紹介されていました。

  • 謙虚:お互いに弱さを見せられる
  • 敬意:お互いに敬意を持っている
  • 信頼:お互いにメンティ(自身)の成長期待を持っている

特に前職の上司との関係でこれらを満たしていた気がします。その中で中堅として成長できた感覚があるため、重要なことだと実感しています。

他にも「悩んでいる」と言うのは「次にすべき行動」がはっきりしていないという考え方も非常に良いなと思いました。そのため悩みを解消するためには以下のいずれか、または全てを解消し、次の行動が明確になるようにサポートすることが重要になります。

  • 「選択肢」が不明確
  • 「比較軸」が不明確
  • 「評価方法」が不明確

この簡易的なフレームワークでメンティの結構使えそうという感覚です。

まとめ

組織論のプラクティスが網羅的かつ体系的にまとめられていて大変良かったです。多くの気づきを得ることができました。是非読んでみてください!!