概要
Web APIの設計と構築に焦点を当てた書籍です。
Web APIの重要性、さまざまな利用パターン、そして「美しい」API設計がいかに開発者の生産性やサービスの信頼性を高めるかについて詳述しています。 特に、URIの設計原則、HTTPメソッドの適切な利用、およびクエリパラメータを用いた検索やデータ取得といった、API構築における具体的な手法と注意点が解説されています。
同僚に勧められたのと、オススメ本としてもよく見かけていた本なので読んでみました。 2014年発売で10年以上経っていますが、APIの基礎としては色褪せない内容がしっかりと体系化されており、非常に良い本でした。
一方で書いてあるツールや情報が古く、初心者としては間違った情報が入ってこないか心配になりました。 自身の知っているプラクティスなどはしっかりと書かれていたので、原理原則になるような箇所を主に読みました。 逆にツール名が出てきたところは生成AIの文章を読む感覚で、間違っているかも?くらいの感じで読んだりしました。
印象に残ったところ
理解しやすいURIにするための2つ目のポイントは、APIでよく使われている英単語を利用するということです。 たとえ英語を使っていても一般的にAPIでよく使われる語彙を使っているかどうかでわかりやすさは異なってくるでしょう。
ここでの気づきとしては、わかりやすい命名をするためには先人が積み上げてきた暗黙的なコンテキストを含んだ単語を利用することが重要ということです。
例えばgetとfetchは大元では「取得する」ですが、元々の英語のニュアンスの違いからさらに意味を持ち、以下のように解釈されることが多い気がします。
get → すぐ返る、キャッシュやDBのような近い場所から取る fetch → 外部サービスやネットワーク越しで遅延がある場所から取る
意味がほぼ同じなら、同じ単語でもAPIのパスはわかりやすいものになると思います。 特定の単語がよりわかりやすいのは、元々単語が持つ以上の意味(暗黙的なコンテキスト)が付与されているからなんだろうなと思いました。
以下も良い例だと思っています。
InstagramやTwitter、FoursquareのAPIは検索のためのエンドポイントにsearchという単語が入っていました。しかしそもそも「検索する」という行為は動詞であり、URIをリソースと表すものとするデザインでいえばやや王道を外れます。そうした意味においてsearchという単語を入れるべきかは大いに悩ましいところです。 しかしわかりやすさの観点で言うと、このエンドポイントは「検索」のためのものであり、全リストを取得するためのものではありませんよ、ということを示すためであればsearchという単語を入れるのはありではないかと思います。
後から見出された法則に違反する単語があったとしても、暗黙的コンテキストをすでに持った単語を使った方がわかりやすいという考えかと思います。
良い命名をするためには、業界にある暗黙的なコンテキストを持つ単語を学ぶことが重要なんだろうなぁと思いました.
Twitterでは2012年にバージョン1.1を公開し、それに伴い1.0の廃止を段階的に行いました。この作業はAPI廃止の手順として参考になる
この移行の話もとても面白かったです。以下に簡単にまとめます。
Twitterは、サービスの成熟に伴い、APIの利用を適切に管理するため、バージョン1.0のAPIを段階的に廃止し、バージョン1.1への移行を推進しました。
廃止プロセスの主なポイントは以下の通りです。
- 2012年8月にバージョン1.1のリリースと6ヶ月以内の1.0廃止を発表
- 2013年3月には「Blackout Test」という一時的なAPI停止テストを実施し、移行を促しました
- 最終的に2013年6月11日にバージョン1.0は完全に廃止されました
ここまでやっている事例は今でも少ないのではないかと思ったりします。 ただ、本当に丁寧な廃止のプロセスとしてとても参考になるユースケースだと思いました。
まとめ
Web APIの設計と構築における基礎的な内容を体系的に学べるため当時においてはとても良書だったと思います。 また、APIがなぜ重要なのか改めて考えたり、命名についても気づきがあったのでよかったです。 一方で10年と時が経ち、情報が古い部分があるため注意が必要です。
